「振替休日」と「代休」は、同じような意味で使われていることがありますが、両者には明確な差があり、取扱いには注意が必要です。
「振替休日」は、就業規則で休日を他の日に振り替えることができる旨を規定し、休日を振り替える前に、代わりの休日をあらかじめ定めておくものです。
この場合、当該休日は通常の労働日として扱われ、休日労働に対する割増賃金の支払いは、不要になります。
ただし、振替休日の要件を満たしていてもその週の労働時間が40時間を超えた分場合は割増賃金の対象になってしまいます。
これでは振り替えのメリットがなくなってしまうので振替休日は、同一週内で取得する旨を就業規則に定めるようにしましょう。
とは言え、業務上、同一週内での取得が難しい場合には「1箇月単位の変形労働時間制」をとる方法があります。
所定労働時間を1ヶ月平均で、1週間当たり40時間を超えない範囲で定めておけば、変形期間の開始前に休日の振り替え変更を行っている場合はもちろん、変形期間が開始されてからの振り替えであっても、就業規則の定めに基づき実施される限りは、変形労働時間制の運用として適法になります。
そう考えると、1箇月単位の変形労働時間制を導入しておいた方が、より柔軟に振替休日を取得できますね。
一方「代休」は休日に労働した後、その後の労働日の労働を免除する制度です。
代休の場合は、休日に労働した事実はなくならないので休日労働と所定労働日の差額として0.25倍の割増賃金、もしくは法定休日の労働に対する差額として0.35倍の割増賃金の支払い義務が生じます。
このとき、週の労働が40時間を超えていればこの日の賃金は所定労働日のそれぞれ1.25倍、1.35倍で計算します。
気をつけなければいけないのは、振替休日の要件を満たしていない場合は代休として扱われ、割増賃金の支払いが必要になってしまうことです。
例えば、あらかじめ振替日を特定して休日労働をさせても、就業規則に定めがなければ代休として扱われますし、就業規則に定めがあっても、休日労働の前日までに振替日を特定していなければ、代休になってしまいます。
(あくまで行政解釈上はこのようになっています)
実際に休日の振替を行う場合には
- 就業規則に規定があるか
- 事前に振り替える休日が特定されているか
- 法定休日(週1回の休日)は確保されているか
- 週の労働時間は40時間以内におさまっているか
を確認しましょう。