減給制裁は、どの程度許されるのか?

減給制裁とは

理由は様々ですが、度重なる遅刻や無断欠勤をした労働者に対して会社の規律を守るため、また他の労働者に示しをつけるために減給を行う場合があります。

この時、一度に多額の減給をされてしまうとその月の賃金がなくなってしまい労働者は生活できなくなってしまうかもしれません。(もともとの原因は自分の行いにあるのですが...)

つまり、会社の規律を守るためにも、時には減給の処置は必要ですが多額の減給は、労働者の生活を脅かしてしまう可能性も含んでいます。

では、減給制裁はどこまでが合法なのでしょうか?

労働基準法では減給制裁について

「就業規則で、減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の『一日分の半額』を超え、総額が一賃金支払期における『賃金の総額の10分の1』を超えてはならない」と定めています。

例えば、 「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え~」ですが、一日の平均賃金10,000円の労働者に減給処分を課すとき、5,000円を超える減給はできません。

また、「総額が一賃金支払期における賃金の10分の1を超えてはならない」とは、一賃金支払期に複数の減給事由があった場合でも、一賃金支払期において減給できるのは、賃金の総額の10分の1までということです。

例えば、その月の賃金総額が200,000円の労働者に対しては、20,000円を超える減給はできません。

賃金総額とはその月に実際に支払われた賃金のことで、残業代などが発生して賃金総額が220,000円の月ならば22,000円の減給が可能です。

そのため、労働者から賃金総額の10分の1を超える減給をする場合には翌月以降の賃金から減給しなければなりません。(このとき、翌月以降の賃金からも減給できるのは10分の1までです)

普段の行いが悪かったり、反省の態度が見られない労働者に対して不満を持っていた社長が
「これしか減給できないの」
「もっとたくさん減給しないと割に合わない」
とおっしゃることはとても多いですし、現場の話を聞いているとうなずけるような事例もたくさんあります。

しかし、労働者にとっての賃金は生活の糧ですので、一定の制限が設けられているのです。